<今月の禅語>    

     酒逢知己飲(虚堂録) 酒は知己に逢うて飲む

      詩は快人(かいじん)に向かって吟じ
     
 酒は知己(ちき)に逢うて飲む


     
快人とは心気爽快にしてものの憐れを解する人のことを

いい、ここでは詩心を解する人という意味で、およそ詩と

言うものは詩心の無い人に聞かせたとて通ずるものではなく、

詩を論じあうことさえつまらなくなってしまう。

やはり詩心をよく解する快人の前で吟じてこそ理解しあい、

詩境を味わい楽しめるものである。


 酒を酌み交わすのも、このようにお互いの気心が

知れたもの同士、肚のそこから知り合い許しあえる、

心胆あい照らす友とが語り合い、論じ合ってこそ酒も

楽しくなるというものである。


忘年会や新年会など宴会での酒も

楽しいかも知れないが、やはり

心ゆくまで歓を尽くすことはできない。

禅語としては禅を論じ仏法を論じると

言う意味合いがある。

お茶人なら『知己に逢うて茶を喫す』

ということになろうか。



戻る