<今月の禅語>    

  青山元不動 (せいざんもとふどう)
  白雲自去来
 (はくうんおのずからきょらい) <五灯会元>


梅雨があけると遠く青山がくっきりと現れ、いよいよ本格的夏がくる。

山の向うには早やもくもくとした入道雲が見えてきた。

泰然として動かざる山と、動いてやまない雲の対比された自然の妙景が浮かぶ。

不動の青山でも雨降ればくすみ、霧にけむる。これも一時の表面的現象にすぎない。

晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 元の姿は変らざりけり、

超然とした青山は周囲の雲がどのように去来し、覆おうが青山の

本来の面目は何ら変わるものではない。

私たちの生活においてもこのようでありたいものだ。

煩悩妄想の雲は必ずかかる。これが人の世の常なのである。

しかし是非得失、愛憎、悲喜、苦楽等分別相対の世界に暮らす

現実の社会にあっても、人間本来の面目たる仏から賜る佛性を

しっかり見据えていれば、煩悩妄想の雲には惑わされない。

この自然の妙景を味わいながら、心境を高めたいものである。



戻る