こころの紋様 -ミニ説教-

~日本は小さな国なのか?~

- 無知から生じる誤解 -



 世はクイズばやり。もの知り、雑学博士が幅を利かすこの頃です。そこで一つクイズに挑戦は

如何でしょうか。第一問――私たちは日本という国は世界の国々に比べ、資源のない小さな

小さな国として教えられてきたように思いますが、では日本は現在世界170ヵ国中、国土面積

では何番目になるでしょうか?(答え=37番目)どういうわけか、日本人の多くが日本という

国を過小評価し、国土は狭く資源もなく貿易によって成り立つ弱い国という観念をもっている

ように思います。確かに米国、ロシア、中国等の大国に比べれば日本はまことに小さな国だと

いえますが、世界全体から見れば日本は決して小さい国ではなく、むしろ大きい方だと言える

でしょう。お隣の韓国に比べてもはるかに大きく、ヨーロッパ諸国のイギリス、ドイツ、イタリア

などよりもずっと大きな国であるのです。
 資源だって相対的に見れば少ない方ではなく、

石油こそほとんど産出はありませんが、人間の命に

関わる水資源の豊かさは随一であり、温暖地帯に

位置する日本は植物資源はヨーロッパ諸国以上に

質量共に恵まれているはずなのです。

 水産資源に至っては四方は海に囲まれて乏しい

はずがありません。

 何より豊かなのは日本人という、優れた人的資源と高い文化と伝統を有していることです。

単に経済大国というだけでなく日本は名実ともに大国であり決して小さな国ではないということを

認識しておきたいものです。国際化、国際性、国際人という言葉がもてはやされ、国際交流も盛んに

なってきています。しかし、鎖国から開国へと国際社会へ仲間入りして百数十年が経ちながら、

未だに日本は島国の小さな国、資源も何もない国という甘えがどこかにあり、諸外国におもねって

いるように思えてなりません。だだ、経済力だけにものを言わせて世界の資源を買いあさり食糧を

浪費し自国の繁栄に血眼になってきて、他の国との協調を欠いて批判を受けて来たこともありました。

 「無知ほど怖いものはない」とも言われますが、仏教では

無知とは道理をわきまえぬ愚かなことを言い、無知なる

ゆえに争い苦しむことにもなりかねません。

 だから、経済の国際摩擦、資源浪費で批判を浴びる

ことがありますが、日本の置かれた立場を正しく知り、

相手の国の事情を正しく認識していくことが求められます。

 仏教では悟りに至る道として八正道が説かれています。釈迦が最初の説法において説いたと

される、涅槃に至る修行の基本となる、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念および

正定の8種の徳目で「八聖道」とも「八支正道」とも言いいます。その第一に正見(正しく物事見る)が

ありますが、平和の道もやはり日本という国を世界的視野、地球的観点から正しく見、正しく理解

することでしょう。ただ、日本だけの繁栄、自分たちだけの豊かさを求める時代ではなく、地球人と

しての日本人という自覚をもって世界を眺めていきたいものです。



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