こころの紋様 -ミニ説教-


〜 教育の基礎工事 〜

―望ましい厳しいしつけ―



 脳の発育のごく早い幼児期に与えられた印象や学習によって得たことは、一生涯にわたって消えずに

残り、その人の一生を決定するほどの影響を持つといわれています。昔流に言えば「三つ子の魂百まで」と

いうことでしょう。大脳生理学からも、そのことは証明され、三歳頃までに脳の形成の基礎が完成されると

いいます。建物であれば、基礎工事がしっかりしていないと、いくら上建物がなされてももろくも崩れてしまい

ます。教育の場合でも、此の三歳児頃までが教育の基礎工事だといわれるゆえんです。人間の一生を

決定するほど影響を持つ此の時期こそ、教育にとって大事な時はないということなのです。

  ところが、現実の育児を見ていると、その一番母子の触れ

合いが大事な時に、保育園に預けっぱなしであるとか、逆に

甘えかせ、盲愛にも似てかわいがりすぎて、躾をまったく

しないという親も少なくないようです。やさしく愛情をかける

ことは育児の絶対条件ですが、やさしさは甘えさせること

ではないはずです。

 ある幼稚園の入園児の中に自分で顔を洗えない子供が何人もいると言う話を聞きました。お母さんが

暖かいタオルで拭いてやっているらしいのです。このようにお母さんの愛情をいっぱい受けたこれらの

子供たちは本当に幸せなのでしょうか。疑わしい限りです。

一番鍛え上げ、躾けなければならないこの時期に、親がこの言うなりになり、聞き分けのないまま育った

子供はやがて耐えることを知らない、ひ弱な精神の人間に育っていくのは当然でしょう。いいかげんな

基礎工事をしておきながら、その基礎の上に大きな建物を建てようとすればどうなることでしょうか。

 幼児期の一番大事な人間形成の基礎づくりを忘れて、やがて学校に

行きだして、やれ受験だ、一流校へと親からも、学校からも求められては

精神的重圧、抑圧はかりしれません。反抗、暴力、引きこもり、いじめ

などの社会的現象とは無関係ではないと思います。

 いじめや校内暴力は大きな社会問題になっています。それを学校教育のせいにしたり、生徒自身の

資質を問題にするだけでは片手落ちです。その教育に基礎工事がなされていたのだろうか検証が

必要な気がします。



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