賢治が言いたかったこと




 承福寺のある湯川山の中腹をぬって、林道が造られています。しかし、便利さや経済的メリットと引き換えに豊かな

自然環境が崩れないかとの心配があります。もちろん私も便利なほうがいいし、経済的にも豊かなほうが好いのですが、

その便利さ、豊かさの追求によって、私たち人類は何か大きな物を失ってきたようにも思えます。

 地球は人間のためにだけあるのでは無い事は、誰もが理解していることです。ところが人間は人間の欲望のために、

同じ地球に生きる他の動物や植物生存を考慮することなく、人間中心、人間本位に開発し、破壊を続けてきました。

いまやそのツケが人間自身の生存を脅かすほどの環境悪化となり、そのツケをどうするかが大きな問題です。

 何年か前、宮沢賢治生誕百年ということで、賢治ブームでした

が、その賢治の童話集の中に「狼森(おいのもり)と笊森(ざる

もり)盗森(ぬすともり)という変なタイトルの作品があります。

それは、岩手、小岩井農場の北の森。大昔,岩手山の噴火が静ま

り,草が生えやがて森になります。そこへ四人の百姓が来て、

ここに畑を開き、家族と共に住もうと決めました。


 そこで四人はそれぞれの方向に声をそろえて叫びます。『オ−イここで畑おこしても好いか』森が応えます『いいぞぉ』

また四人は『ここに家を建ててもいいかぁ』森が応えます『よおーし』、『ここで火を焚いてもいいかぁ』『いいぞぉ』『少し木を

もらっても好いか』『よぉーし』といちいち森の了解を得、それから漸く家族を呼び寄せ住み始めます。このように何時も森と

相談したり、又、収穫を森にお供えしたりして森と人との共存の様子が面白くつづられています。

 現代の私たち人間も、もう一度人間中心の考えでなく人間以外の他の動物や植物と同じ地球に生きる生物の一員として

仲間としてその住みかである森やいのちの根源である地球に相談したり了解を得る必要がありそうです。

 

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